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JB64WのM/Tクラッチのトラブル

JB64W型の車両、走行距離14,775kmのユーザー様より、車両の加速不良に関するご相談を頂戴し、点検を実施いたしました。その結果、クラッチの接続不良が確認されました。トランスミッション外観よりクラッチの異常摩耗が疑われたため、トランスミッションの取り外し作業を行い、クラッチの詳細な点検を実施したところ、クラッチディスクの摩擦材が異常に摩耗していることが判明いたしました。ユーザー様へのヒアリングにより、半クラッチ接続操作の習熟不足が本問題の要因である可能性が示唆されました。
クラッチディスク摩擦材はリベット接合により固定されています。摩擦材の摩耗によりリベットが露出すると、クラッチディスクカバーおよびエンジン側フライホイールに深刻な損傷が生じます。異常加熱は、クラッチカバーやフライホイールの歪み、トランスミッションのオイルシールの損傷を引き起こす可能性があります。

クラッチカバーのディスク当たり面には、斑点状の異常加熱の痕跡が認められます。相当量の熱が加わったものと推測されます。

エンジン側のフライホイールには、斑点状の異常加熱の痕跡が確認されました。フライホイールの面は、ストレートエッジを用いて歪み点検を実施した結果、歪みは認められず、再使用が可能と判断されました。

クラッチディスクの摩擦材の残骸を採取いたしました。その量は相当量に上ります。最悪の場合、クラッチディスクは完全剥離損傷に至っていた可能性がございます。4x4ローギヤセッティングの場合、低速ギヤで低速走行時のエンジン回転数も同様にクラッチ異常摩耗を引き起こす可能性があります。したがって、アクセル操作を注意深くコントロールすることが推奨されます。
トランスミッションのベルハウジングにクラッチディスクの摩擦材が堆積しておりました。摩擦材ダストはグリース、ベアリング、シャフトスプライン等に対して攻撃性が高いため、これら全てを洗浄し、クラッチ交換オーバーホール組み付け作業を完了いたしました。試走において、クラッチ接続の確実性が回復いたしました。