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JB23W-1型ATの車検分解整備とメンテナンス

JB23W-1型ATの車検分解整備とメンテナンスのご依頼を受けました。 ターボチャージャーからエンジンオイル漏れと排気ガスの汚れを確認したため、ターボチャージャーを交換いたしました。ターボチャージャーはJA71~JB64W型のジムニーのエンジンに採用されています。ターボチャージャーはエンジンオイルで潤滑されるため、エンジンオイルの定期交換が不可欠です。IMPSでは、エンジンの保護、レスポンス向上、ターボチャージャーの保護、ターボの過給圧レスポンス向上に効果があるMOTULエンジンオイルを推奨しております。通常の軽自動車と比較して重量が重いため、エンジン負荷は大きくなります。常に推奨しているのは、運行者自らが行うエンジンオイルレベルゲージの目視点検です。オイル量や汚れ具合の変化を把握することで、様々な使用頻度に対応したエンジンオイル交換が可能となります。その他の油脂類は、冷却液をKEMITEC PG55 IMPS黄色、ATフルードをMOTUL ATFへ交換いたしました。スパークプラグ、ベルトとテンショナーベアリング、バッテリーも交換し、メンテナンスを完了いたしました。バッテリーの定期交換も非常に重要です。  排気ガス漏洩の原因は、エキゾーストマニホールドのクラック発生です。エキゾーストマニホールドは、エンジンから排出される排気ガスをターボチャージャーへ導く通路であり、鉄製で高温下で使用されるため、長年の使用による振動などで破損する可能性があります。JB23W-1型は初期タイプであるため、クラックが発生しやすい傾向にあります。JB23W-5型~10型では、エキゾーストマニホールドの設計が改善されています。 3気筒エンジンの排気ガス集合部における破損状況です。3気筒の排気ガス通路が1つに集約される箇所は、特に高温となるため、この部分に亀裂が生じると排気ガスが漏洩します。排気ガス漏洩の状態では、ターボチャージャーの熱エネルギー利用効率が低下し、過給圧が不安定になります。ターボチャージャーの効率的な動作には、高い熱エネルギーが不可欠です。また、エンジンやターボチャージャーに接続されるガスケット(固定用シール材)の破損により、排気ガス漏洩が発生する場合もあります。今回のケースでは、全ての新品部品への交換を実施し、問題を解消しました。その結果、適正なブースト圧が確保され、...

JA11Cサスペンション・リーフスプリングの交換

前回のサスペンション・リーフスプリングの曲げ修正から再入庫となりました。 https://4x4imps-techspotlight.blogspot.com/2025/06/ja11cimpslsd.html プレス機による曲げ修正では一時的な処置となり、オーナー様のご納得を得ることができませんでした。そのため、同一のリーフスプリングを新品に交換いたしました。幸いにも、4x4エンジニアリング・カントリーサス・リーフスプリングセットの在庫があり、交換作業を円滑に進めることができました。交換後、車高は1G水平状態において左右均等となりました。旧車JA11は、車体の個体差やフレームの状態など、車両によって差異が見られること、アフターマーケットの新品パーツの生産が終了している場合や、スズキ純正部品の生産が終了している箇所もあることから、今後、メンテナンスやチューニングはより一層困難になることが予想されます。

JB23W-6型のステアリングリンクロッド点検と車検分解整備

JB23W-6型の車検分解整備およびステアリングロッドジョイントの交換を実施いたしました。 ステアリングギヤボックスとステアリングナックルを接続するリンクロッド端のジョイントを全て交換いたしました。リヤ側のロッドは曲がっていました。先代のJA22Wモデルからフロントデフがリバースローテーションとなり、ステアリングロッドリンケージの取り回しはステアリングギヤボックスから左ステアリングナックルにジョイントを介して接続され、左ステアリングナックル後部から右ステアリングナックル後部へジョイントを介してロッドが接続されます。左右ナックル間のロッドのレイアウトはフロントデフ・コンパニオンフランジ直下となります。この部分はオフロード走行時に障害物に接触しやすいため、注意が必要です。車高を上げてもデフやアクスルの位置は地上から変化しません。デフやアクスルの位置はタイヤの外径によって変化します。現行ジムニーでも同様にサスペンション変更でストロークアップは可能ですが、デフの最低地上高はタイヤ外径差でしか変化しないことを念頭に走行すると良いでしょう。 車検分解整備は問題なく検査に合格いたしました。次回は時間を要するエンジン整備の予約もいただいております。

JA12WへIMPSアルティメイト・リヤLSDをセッティング

JA12Wのお客様からIMPSアルティメットLSDの設定依頼がありました。JA12WはF6A型SOHCエンジンを搭載しており、当時併売されていたJA22WはK6A型DOHCエンジンを搭載しています。エンジンのトルク特性は異なるため、F6A型エンジンを搭載したJA12は、オフロード走行に有効なエンジントルク出力であると考えられます。IMPSアルティメットLSDはリアに設定し、タイプ2の55°をご提案いたします。プレッシャアングル55°では、タイプ2と比較してLSD差動力のコントロールの幅が広いため、未舗装路、グラベル路面、ダート路面、クロスカントリー路面など、コントローラブルにLSDを効かせることができ、タイヤのトラクション向上に繋がります。また、1輪が浮いてしまうサスペンションのアーティキュレーション状態においても、左右のトルク配分と増大、レスポンスが優れているため、スタックするリスクは大幅に減少します。ただし、限界性能は存在します。IMPSアルティメットLSDリア・タイプ2・55°は、ケースに1本溝がございます。デフに装着後、オイルフィラーボルトを取り外すと、この溝がボルト穴から確認できるようになっています。LSDオイルは専用LSDオイルをご使用ください。定期的なデフオイル交換を行うことで、安定した作動制限効果が得られます。

JA11CリーフスプリングオーバーホールとIMPSアルティメイト・リヤ・LSDのセッティング

JA11Cの車体右傾斜に関するメンテナンス依頼を受けました。リフトアップ・リーフスプリングのオーバーホールと、ピボットブッシュおよびシャックルアイブッシュの交換を実施いたしました。リーフスプリング右リア側のヘタリにより、車体が右に40mmほど傾斜しておりました。JA11はリーフスプリングのキャンバー(反り)とシャックルの長さによって車高が決定されますが、半月形状のリーフは経年変化によりキャンバー(反り)が弱くなってしまいます。リーフスプリングを分解し、2番、3番リーフをプレス機で反りを強め組み付けましたが、これは一時的な処置となります。 ブッシュは全て交換いたしました。ボルトが通る位置のゴムが劣化していたため、中心がずれており、車高に影響が出ていたと考えられます。 正面からの写真です。水平に撮影しております。リーフスプリングとブッシュを全て交換し組み付けましたが、依然として10mmほどの右傾斜が見られます。ただし、リーフスプリングの修復ではこれ以上の修正は困難です。運転席右側に乗車した場合、荷重は4輪に均等に分散されます。右側のみに偏って重くなることはありません。ジムニーはパワートレーンが右側に配置されているため、駆動にかかる反力は左右で不均等となります。 IMPSアルティメット・リヤ・LSDの組み付けを承りました。タイプ1の65°を設定いたしました。タイプ2は55°です。65°はプレッシャリングのカム角度が広く、LSD差動タイミングが速いタイプです。イニシャルトルクは内圧式のため、瞬時に差動力が発生します。作動方向は2wayで、アクセルON/OFF両方で動作します。LSD効果の差動力は、タイプ1も2も同様です。鋭いレスポンスと高い差動力により、ショートホイールベースのJA11では、4輪アーティキュレーション状態で方輪1輪が浮いてしまうような状態になる直前に瞬時にLSD差動が開始されるため、低速走行時、悪路走破性が飛躍的に向上します。

JA11V-AT リーフスプリングオーバーホール

リーフスプリングから音がするとの修理依頼を受け、リーフスプリングオーバーホールを実施いたしました。リーフスプリングの構造を熟知した上で行う必要がある作業です。分解して点検したところ、2番リーフのサイレンサーパッドの摩耗が限界を超えておりました。また、ヘルパーリーフの板間摩擦が強かったためか、こちらも摩耗が進んでおりました。摩耗損傷が大きい場合はリーフスプリング交換が必要となりますが、今回のケースはメンテナンスで修復可能なレベルであったため、板間にグリースアップを施し、サイレンサーパッドを交換いたしました。シャックルブッシュ、アイブッシュも新品に交換いたしました。なお、修復のための補修部品が生産販売終了となっている場合は、修理不可と判断させていただく場合がございます。 リヤリーフスプリングも同様に分解いたしました。センターボルトが固着しておりましたため、サンダーでボルトを切断し、交換いたしました。曲がりやリーフスプリングのヘタリについても点検いたしました。 サイレンサーパッドを取り外したところ、摩耗により薄くなっていることが確認されました。金属同士の摩擦を軽減するため、末端部には樹脂製の摩擦係数が低いパッドが装着されています。 社外品サイレンサーパッド(持ち込み)を8枚使用しているようです。 経年劣化したアイブッシュは、ゴム部分が破断していました。アイブッシュはフレームに設置されたブラケットにボルトで固定されていますが、経年劣化が進むとボルトが錆びつき固着し、切断しなければリーフスプリングの取り外しが困難となるケースも見受けられます。 リーフスプリングは、親バネが巻くアップターンドアイに圧入されます。IMPS高次元サスペンションキットJA11(生産終了品)に採用されていたリーフスプリングは、フルテーパーリーフでミリタリーラッパーでした。ベルリン巻き、キャスターウェッジ、4x4エンジニアリングの鍛造シャックルなど、数々の銘品によるリーフスプリングサスペンションセッティングは、理解しておくべき重要な要素です。

JB23W-6型AT エンジン・アイドリング異常

  JB23W-6型AT・K6Aエンジン搭載車におけるアイドリング異常の診断 アイドリング時にエンジン回転数が2,500rpmから3,000rpmを繰り返すハンチング現象が発生しました。冷間時ファーストアイドルおよび暖気後のアイドリング制御にも異常が見られました。SDT2診断機を用いてダイアグコードを確認しましたが、異常コードは記録されていませんでした。スロットルボディーを点検し清掃を行い、ISCバルブを点検しました。ISCバルブをスロットルボディーから取り外し、コネクターを接続した状態でIGキーON・OFFを行い、ISCバルブの動作確認を行いましたが、動作しませんでした。そのため、ISCバルブを交換しました。ECMからスロットルセンサーまでのワイヤーハーネス間の電圧測定を行ったところ、ECMからスロットルセンサーへ異常な電圧が確認されました。ISCバルブがショートした可能性があり、ECM内部基盤損傷の疑いが生じたため、ECM本体を交換しました。その結果、アイドリングは正常に戻りました。ISCバルブとECM内部異常が原因と判断されました。6型までのECM本体はリプログラミング不可のため、本体交換となりました。 試走を行ったところ、アイドリング、加速ともに正常で良好な状態となりました。

JB23W-3型 マニュアルフリーハブセッティング

JB23W-3型オフロードユーザー様のご依頼により、エアーハブの点検修理を実施いたしました。しかしながら、症状が改善せず、4WDコントローラーの不具合の可能性が示唆されました。部品価格の高騰も考慮し、IMPS優良中古部品を用い、エアーフリーハブをマニュアルフリーハブへ設定変更することといたしました。 エアーフリーハブの修理では、エアーソレノイドバルブの交換、配管ホースの点検、ハブ内部の通気経路の点検を実施いたしましたが、改善には至りませんでした。 JA11のマニュアルフリーハブAssyの優良中古部品を今回お出しいたしました。取り付けにはマニュアルフリーハブ取り付けキットを採用いたしました。JB23Wが発売された当時、IMPSでは早期にエアーフリーハブからマニュアルフリーハブへの換装セッティングを行っておりました。当時の雑誌誌面などでもこの事実を確認できます。当時は純正部品を加工して取り付けていたり、純正部品をそのまま流用したりしていたため、商品化には至らず、今日に至っております。現在では精度のある取り付けキットが販売されていることから、マニュアルフリーハブの信頼性が広く認知されたと考えられます。 マニュアルフリーハブ設定の場合、4WDシフト時には一度ドライバーシートを離れ、左右のフリーハブダイアルをLock位置に回してハブをロックする必要があります。この際、タイヤの空気圧チェックや路面状況の確認も可能です。エアーフリーハブの電装系トラブルが解消されるため、信頼性が向上します。

JA11V・A/Tのフロントブレーキロックを修理

JA11V・ATのユーザー様より、ハンドルステアリングが右に取られるというご依頼を受け、ブレーキの点検を実施いたしました。車両をジャックアップし、フロント右タイヤの引きずりを点検したところ、タイヤが回転せず、フロントブレーキキャリパーのロックが判明いたしました。分解整備を行ったところ、ブレーキパッドが完全に炭化している状態でした。ブレーキ残量が走行距離に応じて減少した場合、ブレーキキャリパーピストンが戻らなくなる可能性があり、特にジムニーは片側シングルピストンのため、定期的なキャリパーオーバーホールが重要となります。正常に作動しないブレーキでの走行は、危険性が高まりますのでご注意ください。 ブレーキ分解整備作業を実施いたします。キャリパーピストンに固着が見られ、ピストンを交換して修理整備を行います。キャリパーアッセンブリーは価格が高額となるため、ピストンキット(ピストン、ピストンシール、ダストブーツのセット)を用いて、予算を抑えつつ確実なブレーキ整備を実施いたします。 ピストンの取り外しは空気圧で行いますが、固着が著しい場合は、これまでの整備ノウハウに基づき作業を進めます。取り外したピストンには、全体的に錆が発生していました。これは、ブレーキ液の吸湿性の高さから、ブレーキ液中の水分が錆の原因となっています。ブレーキ液の定期交換を行うことで、水分を含ませず、潤滑油として安定してピストンを動かすことができます。ピストンは新品部品へ交換いたします。 キャリパーシリンダー側はダストブーツ部分のみ錆びておりますが、内部への損傷は軽微であり、洗浄および研磨の上、組み付けを行います。キャリパーの損傷が著しい場合は、キャリパーを交換いたします。ブレーキ液やブレーキディスクローターも新品部品に交換いたします。 試走では時速60km/hほどまで加速し、ブレーキペダルをゆっくり強く、車両停止まで踏み続け、両輪均一に制動するか確認し作業完了といたしました。試走で違和感がある場合は、ブレーキテスターにて制動力を点検する場合もございます。

1997年式JA12Wのエキゾーストマニホールド交換修理

JA12WのエンジンはF6Aです。エキゾーストマニホールドの割れがあり、排気ガスが漏れておりエキゾーストマニホールドをスズキ純正新品部品にて交換しました。ジムニーF6Aエンジンのエキゾーストマニホールドの割れの多くの要因は、現在では適正に整備されていない場合が多いです。過去の使用頻度ではクロスカントリー走行時の下回りへ障害物がヒットすることで、触媒エキゾーストパイプなどからの衝撃がターボやエキゾーストマニホールドへ伝わり、熱せられたエキゾーストマニホールドが想定以上の振動が伝わってしまうためです。あるいは、エンジンコンディションが悪化していて燃焼温度が異常温度となり、エキゾーストマニホールドが想定以上の熱を持ち、高温状態で振動が加わり、割れてしまうのもあると考えています。エキゾーストマニホールドの形状も要因です。ターボチャージャーは排気ガスを利用するタイプなので、排気ガスがエキゾーストマニホールドから漏れてしまっていると、ターボのパワーは出ません。使用を続けるとターボトラブルになります。 エキゾーストマニホールドの交換ではターボチャージャーの着脱を行いますが、長年の使用でターボ取り付けボルトが焼き付いており折損の可能性がとても高いため、ターボチャージャーはオーバーホール品へ交換となります。年式に合ったオーバーホール・ターボチャージャーの型式です。 ターボチャージャーへインテークパイプを取り付けます。洗浄したインテークパイプはターボチャージャー・インテークハウジングと均等に段差を合わせ、適正にボルト&ナットで締め付けます。 段差はあるものの、均一になるように気を配りながら組み付けます。ノーマルでも組み付け次第で他車とは異なってきます。試走を行い作業完了となりました。