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1995年 JA12C-1型 フロントホイールハブとトランスミッション・オーバーホール



JA12C-1型のフロントハブを点検したところ、タイヤを揺りハブにガタつきは無いもののハブナックルシールが劣化しており、ステアリングがスムーズではなくなっています。グリースも漏れてくるとキングピン・ベアリングやハブ・ベアリングがグリース切れを起こし始めベアリングが焼き付き破損します。

フロントハブを分解し、洗浄点検を行い、組み付け。アクスル端のナックルボールは錆が見受けられたため、ペーパー掛けの後スプレー塗装を行いました。ナックルの組み付けではキングピンプレロードの適正化とナックル全体のシール性を保てるよう組み付けをします。

トランスミッションも同時にオーバーホールとなりました。外観はオイル漏れなども無いものの、シフト操作に難があり内部を点検。
シフトレバーの支点となるボール部分のロアーシートが劣化。粉砕している場合が多い箇所です。シフトレバーの支点が保持されない状態もシフト操作に悪影響が出ます。


クラッチ・ベルハウジングも点検。クラッチも同時に交換となります。過去に整備歴があるようでした。レリーズベアリングにグリースが塗布されていない様子でした。レリーズベアリングは新品部品でグリース溝に純正グリースが塗布されている状態の部品ですが、組み付けではそのままの使用ではなく、良質なグリースに変更とミッションケース・レリーズベアリング・スリーブの研磨を行い組み付けていきます。通常のクラッチオーバーホールでも同様で、合わせてインプットシャフト・スプラインの点検洗浄と研摩を行い組み付けします。レリーズベアリングを押し出すレリーズフォークの動きもよく点検します。レリーズフォークのグリース切れやフォーク・ブッシュの摩耗、見落としがちなのが、レリーズベアリングをはめ合うピンが欠損している場合があるので、小さな部分も点検となります。これらもシフト操作に影響を与える箇所です。
ギヤユニットを分解。洗浄を行い、各部を点検。洗浄では、入り組んだ細かい部分の汚れをブラッシングで落とすことが大切です。

メインシャフトに組み込まれる、ハブスリーブを点検。ハブスリーブの新品部品は生産廃止されています。
ハブスリーブとギヤの間にあるシンクロナイザ・リングを点検。ノギスを当て測定している箇所にキーが嵌め合います。キー溝が摩耗している場合、ギヤとシンクロナイザリングが同期されてもシフトハブにドッキングされにくくなります。
シンクロナイザーリングを全て交換。新品のキー溝はエッジがきちんとあります。キー溝はシンクロナイザリング1つに3箇所にあります。
キーも交換します。キーは凸形状です。シフト操作で擦り減る小さなパーツです。キーを保持するキー・スプリングも交換します。キー・スプリングも折損することがあるため再使用は避けます。
ギヤとシンクロを嵌め合い、その隙間をゲージで点検します。この隙間が狭くなるとシンクロナイザーリングやギヤのコーン部が摩耗していることになります。摩耗が進んでいると、シンクロしにくくなり、シフト操作が難しくなります。
全てを組み付け、ケースへ配置。ケースを組み付けていきます。組み付けオイルは良質なオイルトリートメントProTec・XEP-17Rを添加しています。
ミッションを完組み。クラッチを交換後、車両へ搭載。試走を行いスムーズなJA12Cのシフト操作へ蘇りました。古き良きミッションになりつつあります。これからも小まめなオイルメンテナンスが大切です。