1992年式JA11C-3型F6Aエンジンの整備依頼を受け、早速点検を開始いたしました。本機体は過去にIMPSにてエンジン整備を実施した実績があり、その後約20年の使用経過がございます。エンジンオイルはMOTUL300Vを継続使用しており、カーボンスラッジ等の汚れ堆積は確認されません。ですが、金属疲労や摩耗があるためエンジンメンテナンスオーバーホールとなります。F6AエJA11に搭載されたF6Aエンジンの整備につきましては、補修部品の生産が廃止されているものが多数存在するため、整備作業の開始に先立ち、点検判断を行い、作業の可否を判断いたします。多くのメンテナンスが行き届いていないF6Aエンジンの場合、整備作業の実施は困難と判断します。
クランクシャフトメタルベアリング交換。クランクシャフト小端部および大端部のメタルベアリングは、傷が多くダメージを受けていました。これは、エンジンオイル消費過多により、オイル不足または油圧低下状態でエンジンを運転していたことが要因と考えられます。クランクシャフトメタルベアリングは、オイルの圧送によってクランクシャフトがフローティングするベアリングであり、非常に重要な部品です。エンジンオイルおよび油圧管理の重要性は、交換されたパーツからみることができます。
カムシャフト及びロッカーアームの交換されています。カムシャフト及びロッカーアーム共に摩耗限度を超過していたものと推定されます。カムシャフトの摩耗はカムプロフィールの劣化を引き起こし、バルブ開閉動作の悪化を招きます。バルブ開閉動作の悪化は吸気量及び排気量の不均衡をもたらし、燃焼効率の低下に繋がります。
ピストンピンに著しい傷摩耗の痕跡が確認されました。オイル油圧の低下または不安定な油圧状態が継続した場合、連鎖的に各部の金属表面に傷摩耗が発生し、進行する可能性があります。ピストンリング、オイルポンプ及び各部オイルシールの交換、並びにメタルヘッドガスケットの改善組み付けを実施されてきます。
インテークマニホールドのオーバーホウルを実施いたします。ジムニーF6Aエンジン・インテークマニホールドは、インテークマニホールド菅長部、サージタンク部、スロットルボディ部の3つの部分で構成されています。アナログセンサーやEGR排気ガス再循環システム(ダイヤフラム式)など、インテークマニホールドに集約されています。また、エンジン水温管理用のサーモスタットもインテークマニホールドに搭載されており、インテークマニホールドには冷却水通路が設けられ、サーモスタットケースを通過してラジエータに接続されています。インテークマニホールドのフランジ面に歪みが生じている場合、ガスケットの不良により冷却水が吸気系に流入する可能性があります。したがって、インテークマニホールドの定期的な整備が不可欠です。分割式エンジンは、その構造上、振動により分割部分のガスケットから圧縮吸気および未燃焼ガスが漏洩する可能性があります。ターボチャージャーエンジンは加圧された内圧を維持する必要があるため、ガスケットの密閉性は極めて重要です。
サンドブラスト処理を実施いたします。サンドブラスト処理では内部の汚れは除去できませんが、外観部分を清浄化いたします。IMPSは、古き良き時代のエンジンの外観を清浄に保つことを好んでおります。インテークマニホールドのユニットは全て新品部品製造廃止パーツです。こうした点検作業段階で部品再生困難と判断する場合もあるため、非常に判断が難しい作業となります。
ターボチャージャーをオーバーホウル品へ交換いたします。ターボ修理専門業者を指定し、入荷手続きを進めます。アクチュエーターは当時IMPSで販売されていた強化アクチュエーターでありましたが、錆びていたため耐熱シルバー塗装を施しました。アクチュエーターは現行エンジンにおいても機械式であり、ホースで接続されたエンジン負圧を利用して設定以上の過給圧が発生した場合にターボチャージャーの排気ガス流路をバイパスさせ、過度な過給圧を制御する部品です。アクチュエーターの錆び付きなどの劣化は、異常過給圧や過給圧が発生しないなどの異常を引き起こし、ターボチャージャーに過大な負担をかけ、ターボチャージャーの異常発生要因となります。そして、ターボチャージャーも再生不可能品の場合、作業は不可となります。また、エキゾーストマニホールドも新品部品へ交換いたします。JA11のF6Aエンジンエキゾーストマニホールドは強度が不足しており、熱と振動によりクラックが発生する傾向があります。定期的なターボメンテナンスを実施しておりますので、現時点でクラック損傷は確認しておりませんが、新品部品へ交換いたします。
IMPS指定の内燃機専門業者より、オーバーホール済みのF6Aエンジンが納入されました。本エンジンは、リビルドエンジンではなく、現車エンジンオーバーホールを実施しております。各部の機械加工精度が高く、丁寧に点検・組立てられ、テストファイヤリングを完了した上で納入されます。
インテークマニホールドのフランジは、IMPSにて点検測定を実施し、定盤上で研削研磨を行いました。インテークマニホールドの取り付けに関しても、適正なナット締め付け順序、適正締め付けトルク管理を行い組み付けしていきます。
エキゾーストフランジは、非常に精密な面取り加工が施されています。スタッドボルトは、当然ながら新品部品に交換されています。
エンジンルームの洗浄を実施し、ウォータホースおよびエミッションホースを全てスズキ純正新品部品に交換いたします。ただし、生産廃止部品については、点検後、再使用させていただきます。IMPSにてこれまでメンテナンスを実施してきた車両につきましては、再使用可能判断が可能でございます。一方、過去整備履歴のない車両につきましては、交換不可と判断させていただきます。
エンジン調整作業中に、不具合部品が発見されました。予備部品として再利用可能な可能性は考慮しておりましたが、動作確認の結果、予想通り使用不可能な部品であることが判明しました。この部品は2wayソレノイドバルブであり、電磁ソレノイドバルブが内部の小型ゴム製ダイヤフラムバルブを微細に制御し、アイドリング時の吸入空気量を調整する役割を担っています。現状では制御機能が停止しているため、アイドリング回転数が適切に維持されていません。したがって、新品部品への交換が必要となります。
2ウェイソレノイドバルブは、2026年5月現在、1個あたり235,000円(税抜)で販売されており、ジムニーにとって高価な部品となっております。このような作業が発生する可能性を考慮し、JA11、JA12/JA22W、JB23W初期型などの車両では、整備作業開始前の作業可能判断を見極めた上で見積もりを作成いたします。なお、見積もりに関しては、作業依頼の内容を総合的に判断し、作成させていただきます。
旧型ジムニーを良好な状態に復元し、所有保管、または週末のささやかな贅沢を旧型ジムニーと供にしたいとお考えのお客様におかれましては、今後は通常の補修作業よりもレストア作業が主流となる傾向にありますので、予算を明確に設定の上、ご依頼いただければ幸いです。