スキップしてメイン コンテンツに移動

1992年式 JA11V-2型 メンテナンス

28年経過のJA11Vフロントアクスル・ホイールハブのオーバーホウルを行いました。
フロントアクスルホイールハブの機能はタイヤ&ホイールの取り付け、フロントタイヤを回転させる、タイヤの位置決め、ステアリング操舵、4WDから2WDへ切り替えるフリーハブ、ブレーキ機構があります。どれかひとつでも機能不全があってはいけません。
下廻りから外観をみると、グリース漏れやデフオイル漏れがあります。タイヤ&ホイールのがたつきはキングピンベアリングとハブベアリングの異常が引き起こす場合が多いのです。
全ての部分を分解整備します。アクスルボールは研摩することが重要です。研摩後は防錆塗装をしました。スムーズなステアリング操舵にしていきます。
分解整備中に検証。過去に他店で整備した痕跡がありました。ハブベアリングにプレロードを掛けるためのアジャスターナットです。特殊サイズのため、整備作業ではメーカー指定特殊工具を使わなければなりません。ナットにえぐれたような大きな傷はタガネやマイナスドライバーなどで打撃を与えた痕跡です。
アジャスターナットをロックするナットも同じ部品ですが、役目が異なります。こちらにも打撃の痕跡がありました。ホイールハブベアリングのプレロード調整の重要性を知らない作業者だったのでしょう。ホイールベアリングのプレロードは打撃などで調整はできません。しっかりとした特殊工具ソケットレンチにて荷重を少しづつかけ、ホイールハブを手で回転させベアリングをなじませることでホイールハブのセンターが出せるのです。プレロードは荷重を加え維持させるので、ロックナットがあります。ロックナットの締め付けもプレロードに影響するため、アジャスターナットとロックナットの締め付け荷重を合算して手応えを感じ取り組んでいくのです。
また、ホイールベアリングの定期的なプレロードチェックも大切です。ジャッキアップしたタイヤが地面から離れた状態にて、タイヤを手で空転させて転がりを点検。オフロード走行後(定期的)などはフリーハブを取り外し、プレロード再調整が大切です。これはジムニーに乗っていく上で基本中の基本です。
ホイールハブのベアリングとアクスルキングピンベアリングにグリースパッキングをしていきます。グリースは極圧系ベアリンググリースを採用しています。
ベアリングのアウターレースは圧入します。このときベアリングとアウターレースは一対となるようにします。左右の部品も組み付けを混在にしてはいけません。
また、アウターレースの圧入時に、ハブキャリアが緩くなってきている場合は点検後新品へ交換となります。オフロード走行頻度が多い場合はハブキャリアの定期的な交換が大切です。

ハブキャリアやキングピンに異常はなく、ナックルシール類を新品部品にて組み付け。
ナックル部分は日頃定期的に清掃してクリーンな状態を保ち、グリースを薄く塗布しておくとシール性が維持できます。ナックルオイルシールは耐油性があるので、攻撃性の低いグリースが良いです。デフオイルなどはオイルシールへ攻撃性が強いのです。


ブレーキディスクローターとブレーキパッドも同時に交換を勧めています。

ラジエータとラジエータホースを点検。ホースに液体ガスケットが塗られて取り付けられていました。おそらくホースを過去に取り外し、ホース再使用となり液漏れの可能性が起きるので、液体ガスケットを厚く塗って取り付けたのでしょう。基本的に劣化したゴムホースは再使用不可です。液体ガスケットを厚く塗ることもないです。パイプは腐食の可能性があるので、研摩することでゴムホースと密着性が上がるのです。ホースバンドも純正ホースバンドではない様子。新品パーツにて修復していきます。
燃料リターンホースの取り回しが間違っていました。リターンホースはラジエータホースアウトレットの上になります。そこにはクランプで保持されます。リターンホースはガソリンが流れるので、ステアリングシャフトに近い位置になるのはとても危険です。取り回しを適正にしていきます。

ラジエータを取り外しチェックしました。長年の汚れが堆積していました。腐食もあり、ホース継ぎ手部分は冷却水漏れをしていました。

ラジエータブラケットがラジエータタンクから剥離。ラジエータはフレームの左右でブラケッットを介して取り付くため、ラジエータブラケットへ力が加わってしまうのです。フレームに取り付くラジエータブラケットの左右の位置を修正をしていきます。
ラジエータとホースの中間に位置するパイプも腐食が進行するので新品部品へ交換していきます。パイプにはタービンやインマニからの冷却水ホースが接続されます。こちらも付帯する部分を新品部品へ交換していきます。
ラジエータはラジエータオーバーホウル専門会社から供給を受けています。リビルドデポジットとなります。ラジエータキャップ、ラジエータリザーバータンクも新品部品へ交換。ラジエータキャップは定期的に交換することが大切です。リザーバータンクも内部汚れ堆積やひび割れが起きるので交換。

中間のパイプとホースとホースバンド全て新品部品に交換。パイプのメッキはシルバー調です。
エンジン冷却剤はKEMITEK PG55 HQを採用しました。低価格で品質の良い冷却剤です。
冷却水色はIMPS別注の黄色となっています。
冷却剤の入れ替えは真水を入れエンジン完全暖気を行い、これを3回ほど繰り返し、残留する冷却水を取り除きます。残留した水により希釈されるので新液で循環させ抜き取り、再度新液を入れるとベストです。
エアー抜き、水漏れ有無を確認、試走したのち作業完了です。