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JB23W-10型サスペンション・リセッティング

JB23W-10型にてユーズドジムニーに装着されていたサスペンションパーツの再セッティングの依頼を受け、IMPSゼロラインN1サスペンションキットのセッティングを提案しました。オーナーさんのサスペンションに対する不安点が購入後の中古車ジムニーにあると感じた様子で、不安な部分を書き起こしリストアップされておりました。これから乗る愛機に対して素晴らしいことだと思います。その不安はサスペンションセッティングの直線安定性や操縦安定性にとても不安がある内容で、現車のセッティングを点検したところ、この不安な部分は我々も同様の考えでした。一般アスファルト路面、オフロード走行に必要以上の車高アップがされていたと考えています。必要以上な車高アップの外観が好まれること、性能をスポイルしても好みのスタイルは人それぞれあるので、すべてがNGだという考えはないですが、我々は、走行の楽しみ、性能アップの楽しみ、長所をさらに良く、短所を少なく対策していくことがチューニングが面白い楽しいことだとおもっています。
フロント・サスペンションアームのブッシュに硬質樹脂ブッシュが装着されていました。これもサスペンション性能を阻害する要因と考えています。車高アップに伴い、車両1G水平状態のキャスター角の変化が起きます。キャスター角の変更をブッシュの取り付けボルト軸の位置をブッシュで変更してキャスター角をノーマル状態にさせようとしたいパーツなのでしょう。多くのジムニーに見受けられる間違ったセッティングです。サスペンションアームのブッシュにはバインディングという、サスペンションがストロークしてアクスルが捻れる動きのブッシュゴムの抵抗力がセッティングされています。硬質樹脂ブッシュは変形量が極端に少なくなり、変更したブッシュの一部分に捻じれようとする抵抗力が増加する(アクスルが捩れにくくなる)と考えています。3リンク式サスペンションのジムニーJA12/JA22W/JB23W/JB64W/JB74Wはサスペンションのバインディングセッティングが操縦安定性に大きく関係しています。また、取り付けボルト軸位置の変更で求めるキャスター角は四輪アライメント高精度測定を行い、キャスター角度を確認する必要があります。以前、我々もいくつかの偏心ブッシュを装着されたJB23Wを四輪アライメントテスター上で確認したところ、現車に対する車高に見合ったキャスター角に合っていない場合がありました。

IMPSゼロラインN1サスペンションキットでは、車高アップに伴うキャスター角の変更はフロントコントロールアームのセッティングで行っています。四輪アライメントデータでは、直進性向上と、コーナーリング性能向上を考えたキャスター角セッティングとしています。ブッシュはスズキ純正部品を採用。(先に、MTタイヤセッティングの条件下です)ブッシュの硬度はスズキ純正部品が優れているので、オフロード走行のアクスルの捻じれようとする力、バインディングも安定していており、障害物乗り上げ性能をスポイルすることなくセッティングしています。
ダンパーは日本製ダンパーメーカーにてOEM供給を受けています。価格帯以上の減衰力特性となるようにダンパーセッティングオーダーとしています。複筒式ダイアル調整機構はありません。メインバルブシムとベースバルブシムの決定のみが最大限減衰力を生んだ方が良いと考えているからです。
その他、強化ラテラルロッド(ラテラルロッドブッシュはゴムブッシュタイプ)とリヤラテラルロッド強化補正ブラケット・タニグチ製をセッティング。
ラテラルロッドには走行中とても大きな力が加わります。オフロードシーンでは一般走行以上の力が加わります。サスペンション性能アップにより、タイヤグリップが安定していくためラテラルロッドの剛性アップは必要です。より剛性を引き上げるためにフレーム側ブラケットには溶接強化プレートも用意しています。
リヤラテラルロッド補正強化ブラケット・タニグチ製は板厚があり信頼性が高いのです。JB23W以降はサスペンションストローク量がリヤ重視の構造で、車高アップに伴い、リヤラテラルロッド角度が広くなるため、横力に対して力が安定して伝達されにくくなります。ラテラルロッド角補正ブラケットにより、水平1G状態時リヤラテラルロッド角水平となります。
順序が変わりますが、今回は走行シーンを一般走行から釣行時の林道走行を想定されており、ジオランダーX-ATを採用。とても安定したタイヤグリップを発揮しています。

様々な要素をトータルで考えサスペンションキットをセッティングしています。