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JB23W-10型 クラッチメンテナンス & フロントホイールハブメンテナンス

 ジムニーJB23W-10型 約14万キロ総走行距離のクラッチメンテナンスにてクラッチオーバーホウルの依頼を受け作業となりました。交換されたクラッチ。左からクラッチディスク、クラッチカバー、レリーズベアリング、パイロットベアリング。

クラッチディスクはフェーシング面は通常摩耗。クラッチディスク中心のトランスミッションインプットシャフトにエンゲージされるスプラインはグリース切れにより円滑ではなくなっています。円滑不良の場合、クラッチがOFFにならずクラッチ断続しにくくなります。スプラインを点検・研磨清掃・グリースアップすることでスムーズなクラッチ断続にします。スプライン専用グリースアップにて組み付け。

クラッチカバーはダイヤフラムスプリング摩耗。ディスク当たり面歪み有り。クラッチカバーはクラッチディスクとセットで交換としています。クラッチディスクもクラッチカバーも回転バランス取りがされています。

レリーズベアリングはトランスミッションケースにセットされ、クラッチカバーダイアフラムスプリングをプッシュ・スライドします。クラッチワイヤー作動の機械式。ここでもグリース切れが確認されます。トランスミッションケース材質はアルミ合金であり、レリーズベアリング内径スリーブはスチール系材。グリース切れによりトランスミッションアルミ合金ケースを痛めてしまいます。ワイヤー式のためクラッチペダルの踏み応えに影響が大きくでてきます。レリーズベアリング専用グリースにて組み付け。

パイロットベアリングはエンジンフライホイールに圧入されています。トランスミッションインプッロシャフトの先端部がセットされ軸受けとなります。本来クラッチオーバーホウルにて交換するパーツではないですが、IMPSではフライホイールにアクセスできる機会なので、フライホイールの着脱を行いパイロットベアリング交換をします。
スズキ純正新品部品のセットアップを行い、フライホイール、クラッチカバー取り付けボルトトルク管理を行い交換します。組み付け後の試走にて当たりを出しつつ慣らし運転完了後、クラッチ好調となります。

フロントホイールハブはステアリングナックル内部に組まれています。ステアリングナックルシール周辺を見ると汚れたグリースが確認できます。アクスルチューブの末端ボール型の中にはフロントドライブシャフトCVジョイントのスペースです。ジムニーのスタイルです。
 フロントホイールハブオーバーホールではブレーキディスクローターやブレーキパッド、ブレーキキャリパーのオーバーホウルも同時メンテナンスを勧めています。こちらもディスクローター、ブレーキパッド、ブレーキキャリパーオーバーホールシールキット、スズキ純正部品にて交換。
オーナー使用拠点が長野県であることから、融雪剤(塩カル)の塩害が進行。アクスルやラダーフレーム、フロアパネルにはノックスドール防錆材を新車納車時に塗布しているためダメージは少なくなっています。

 写真中央キングピンベアリング、右隣フロントホイールハブベアリング、上方ステアリングナックルシールとホイールエアーフリーハブガスケット、左見切れスピンドルオイルシール。その他にハブハウジングオイルシールとドライブシャフトオイルシールが基本交換パーツとなります。
キングピンベアリングは小さいテーパーローラーベアリングが上下に2個。グリース切れを起こしやすいのです。
ホイールハブベアリングは一体式ボールベアリングながら、きちんとしたグリースパッキングをしておれば、プレロード無調整ながら耐久性は高いと考えています。
ベアリング専用グリースをベアリングにパッキングして組み込んでいきます。


フロントホイールハブ、ステアリングナックル、フロントブレーキは、タイヤからステアリングホイールの手応えに直結する伝達部分です。ジムニーの楽しみに関わります。定期的なメンテナンスが大切です。

順序が逆になってしまいましたが、ホイール&タイヤも交換。
JAOS VICTRON EXCEL JX Ⅱ(販売終了品)とヨコハマタイヤ・GEOLANDER G003 185/85R16をセッティング。サイドウォール剛性、ケース剛性は良好。トレッド面・ショルダーはオンロード・ラフロードではややグリップ立ち上がりが遅い印象。ビード部分の形状、内径はややタイトに横力に対しての変形具合が気になるところです。