スキップしてメイン コンテンツに移動

フロントホイールハブ・ベアリング&キングピン・ベアリングのオーバーホウル

タイヤ回転、操縦安定させるために
ここのところ作業が続きます。4x4IMPSではお客様の整備履歴が全てあるので、追ってみます。そのデータベースにない場合ももちろんあります。分解していくと、、、

これではまともなセッティングにはなっていない可能性がある
なにか妙な傷がある。ホイールハブ・ベアリングに適正なプレロード(起動トルク)をかける調整ナットで、多くのユーズド・ジムニーにこの妙な傷を見たことがあります。推測してみたところ、、、
調整ナットを取り外す際に、プライバーやタガネのような物で打撃を与えたのではないかと思われます。この調整ナットのサイズは少しだけ特殊でSST(スペシャルサービスツール)が必要な箇所です。適正なSSTを使用しておれば、このような傷は付きません。
なのでO/H以前は適正なプレロードでセッティングしていたか疑問です。O/H前のホイーハブ・ベアリングプレロードは「0」に限りなく近いくらいの値でした。また、調整ナットとベアリングの間のワッシャーも異常磨耗しておりワッシャーも交換です。
早期発見でスピンドルやハブASSYに深刻なダメージが少なく、パーツ代金が膨らまず済み良かったです。

そんなキングピン・シムの調整中
調整用シムを組み合わせ、バネ秤をかけて基準値の起動トルク、プレロード1~2kgに合わせていきます。ナックルオイルシールは取り付けない状態です。おおよそであらかじめ調整シムを入れておき、 減らして調整します。こうしないと、、、キングピンベアリングに無理な初期の負荷が掛かってしまい、せっかくの新品ベアリングが損傷する可能性があるためです。キングピンに負荷を掛けていく際はボルトを締めますが、プレロードを掛けたらキングピン・ベアリングを動かし、これを繰り返し手応えを見ながら調整していきます。


新調しました
ベアリング・パッカーです。JA11ジムニーなどのホイーハブ・ベアリングはテーパーローラー・ベアリングでローラーとベアリングレースの間にグリースを込めます。4x4IMPSでは工具は潤沢に用意していますが、なぜがベアリング・パッカーがありませんでした。ペール缶でグリースを使っていないのもあります。普段は手で入れていて意外とコツが要ります。コネるのが上手いと手がグリースまみれにはならずすみますが、それでもグリースが手に付着します。
物は試し。ベアリンググリースを容器に入れスライドピストンを入れ、ベアリングを入れ、テーパ形状の治具のような物でプッシュ。
想像以上に上手く入りますね。グリースは粘りのある油ですので、手で押したくらいの圧力じゃ入りませんでした、、、なので、プレス機で軽くいきました。手の力、体重をかけていきたいときは、グリースを温めるといいかもしれませんね。ジャバラの荷姿グリースを湯せんが良いかな、、、

うん。良い具合だ
分解し各パーツを洗浄溶液でクリーンに。冒頭にあった調整ナットは交換。
ホイールハブにベアリングレースを圧入し、先ほどのグリースを込めたベアリングをセットし、プレロード調整をしていきます。調整ナットにはSSTを使い、ベアリングに適度なプレロードを掛け、ベアリングを落ち着かせます。その後、起動トルク(プレロード)をバネ秤でチェック。基準値内(1.0〜3.0kg)3.0kgにセッティング。調整ナットはなかなか曖昧なもので、調整したのちロックナットを締めると値が変化するので注意が必要です。適正に組むと、程よく抵抗があり、ひとつひとつのベアリングローラーがスムーズに回転している感触があります。 ジムニーを多く作業していますので、秤が無くとも手応えでおおよそ判ります。そればかりだと人によることになるので注意が必要です。

フリーハブにもグリースを塗布
ハブロックの作動はコイルスプリングの戻そうとする力で、フリーハブ・クラッチがハブに噛み合いタイヤとアクスルシャフトがLOCKとなる仕組み。フリーハブ・キャップにはシフトドラムのような溝があり、溝に沿ってフリーハブ・クラッチが動く構造で、フリーハブのハブには薄い金属ブッシュが圧入されています。フリーハブは基本的に非分解。ですが、状況によって分解しフリーハブ・クラッチのスリーブを洗浄しグリースアップします。スムーズな作動を確認しグリースアップして取り付けます。(JB23ジムニーなどはスプリング式ではないので、グリースアップする箇所が異なります)

オフロードへ行って、さぁフリーハブを回してLOCKにして、、、
四輪駆動車らしい儀式(笑)手動式フリーハブはシンプルな構造で4WDにする確実性が高いからホントに儀式かもしれない。JB23ジムニーではエア式フリーハブになり、フリーハブのダイアルは無く、4WDボタンを押せばLOCKとなるので、オフロードの車外へ出なくとも室内から快適にLOCKできる。高速走行でもFREEからLOCKになるから安心だ。
どちらも、いざ四駆にするゾってときに、アレレ?動かないなんてことにならないよう定期的なメンテナンスが大事です。